杖なしで歩けることが、本当にリハビリの目標なのか?

杖なしで歩けることが、本当にリハビリの目標なのか?

杖なしで歩けることが、本当にリハビリの目標なのか? 150 150 広島県広島市西区にある筋膜リリース専門の整体院 青体-SEITAI-です。

 

リハビリでは、患者様が何を目標にしているのかを確認します。

「杖を使わずに歩きたい」

「一人で外出したい」

「元の生活に戻りたい」

人によって希望は違います。

しかし、本人が希望している動作をそのまま達成することが、本当にその人の目的につながるのでしょうか。

以前、脳卒中後の男性を担当したとき、このことを考える経験がありました。

息子の結婚式に、自分の足で出席したい

この方は、過去にも脳卒中を経験されていました。

最初の発症では比較的順調に回復し、約1か月で退院されています。

しかし、2回目の発症では身体の状態が大きく変わりました。

手足の麻痺に加えて、特にバランス能力の低下が目立っていました。

最初は立つことにも介助が必要でしたが、リハビリを続ける中で徐々に歩けるようになっていきました。

そして、この方には明確な希望がありました。

「息子の結婚式に歩いて出たいんじゃ」

できれば杖を使わず、自分の足で歩いて出席したいということでした。

私は、その希望を大切にしながらリハビリを進めました。

杖なしで歩けても、転倒の危険性が残っていた

リハビリによって歩行能力は改善しました。

しかし、バランス能力が完全に回復したわけではありません。

杖なしで歩くことができたとしても、ふらつきによって転倒する危険性が残っていました。

そこで私は、

この方が本当に実現したいことは何なのか。

もう一度考えました。

杖なしで歩くことも本人の希望です。

しかし、その先には息子の結婚式に出席したいという目的がありました。

もし杖を使わないことにこだわり、転倒してしまえば、結婚式への出席自体が難しくなる可能性もあります。

そこで私は、杖を使うことも提案しました。

もちろん、杖を使えば絶対に安全というわけではありません。

それでも、現在の歩行能力やバランス、転倒の危険性を確認しながら、目的を実現するための方法を考える必要があります。

本人の希望を否定することと、別の方法を提案することは違う

患者様が杖なしで歩きたいと希望しているときに、杖の使用を提案する。

それは、本人の希望を否定しているのでしょうか。

私はそうではないと考えています。

大切なのは、なぜ杖なしで歩きたいのかを確認することです。

杖を使わずに歩くこと自体が本人にとって大切なのか。

それとも、杖を使わずに歩くことで実現したい生活があるのか。

そこを確認することで、提案する内容も変わります。

専門職が一方的に方法を決めるのではありません。

本人の希望を聞いたうえで、身体機能や安全性を評価し、考えられる方法を一緒に整理することが必要です。

歩くことが、最終的な目的とは限らない

以前、仕事復帰を目標にしていた40代の男性にも関わりました。

下半身の運動障害があり、ロフストランド杖を使って歩けるところまでは回復しましたが、屋外を安定して歩くことには難しさが残っていました。

この方の場合も、歩行能力を元に戻すことだけが目的ではありませんでした。

仕事へ戻ることが目的でした。

そこで、車椅子や車での移動、他の人との役割分担などを組み合わせながら、仕事へ戻る方法を考えました。

身体を元に戻すことだけではなく、今ある身体で何ができるのか。

方法を変えればできることはないのか。

そこまで確認することが大切です。

「何ができるようになりたいか」の先を見る

整体でも、身体の状態を評価し、必要に応じて筋膜リリースなどの施術を行います。

痛みが軽くなった。

関節の動きが変わった。

以前より歩きやすくなった。

こうした身体の変化を確認することは必要です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

例えば、膝の痛みがなくなったとして、その方は何をしたいのでしょうか。

旅行へ行きたいのか。

仕事を続けたいのか。

趣味を楽しみたいのか。

家族と外出したいのか。

身体を変えることと、その身体で実現したい生活は分けて考える必要があります。

今回の男性は、結婚式を迎える準備をして退院されました。

しかし、結婚式の直前に体調が急変し、亡くなられました。

結果として、結婚式に出席するという希望は実現しませんでした。

それでも、この方との関わりから、私は目標を考えるうえで大切なことを学びました。

本人が希望する動作を改善すること。

その動作を何のために行うのかを確認すること。

そして、本人が望む生活につながる方法を一緒に考えること。

「何ができるようになりたいのか」だけではなく、「それができるようになったら、何をしたいのか」。

身体を評価するときにも、この二つを大切にしています。

広島市西区横川町1丁目
整体院・青体