身体の状態を見るとき、
「この人は何ができるのか」
を確認することは大切です。
どのくらい歩けるのか。
どのくらい身体を動かせるのか。
どの程度の運動ができるのか。
しかし、理学療法士として患者様を見てきた中で、
「できる能力があること」と「今日、その負荷をかけていいこと」は別
だと感じた経験があります。
日に日に歩けるようになっていた患者様
急性期の病院で働いていたときのことです。
ある患者様は、入院前には歩くことができていました。
入院後もリハビリを進める中で、日に日に歩けるようになり、歩行距離も少しずつ伸びていました。
そのまま状態が改善すれば、さらに歩行距離を伸ばして退院につなげていく予定でした。
ところが、途中で患者様の状態が悪化しました。
血液データにも変化があり、バイタルや意識状態などを含めて、それまでと同じように負荷をかけていい状態ではなくなりました。
そこで主治医へ連絡し、今後のリハビリについて相談しました。
その結果、
今は無理に歩行距離を伸ばさない。
ベッド周囲での動作を中心にする。
運動負荷を調整しながら、身体機能をできるだけ維持する。
そして状態が回復すれば、再び歩行練習を進める。
そのような方針になりました。
歩けないから、歩かなかったわけではない
この患者様は、それまで歩けていました。
だから、
「歩けないから歩行練習をやめた」
わけではありません。
歩ける能力はあるけれど、今はその負荷をかける時期ではない。
そう判断して、一時的に運動負荷を下げていました。
急性期では、昨日と今日で身体の状態が変わることがあります。
昨日100m歩けた。
だから今日も100m歩く。
それだけでは判断できません。
バイタルはどうなのか。
意識状態はどうなのか。
検査結果はどう変化しているのか。
病態そのものはどうなのか。
そうした現在の状態を確認して、その日の運動負荷を決める必要があります。
「できた」という過去の結果だけで身体を判断しない
これは病院のリハビリだけではありません。
例えば、
昨日は30分歩けた。
先週はこの運動が10回できた。
以前はこのストレッチをしても問題なかった。
それが、今日も同じようにできるとは限りません。
仕事で身体を使い過ぎているかもしれない。
睡眠が十分ではないかもしれない。
いつもより痛みが強いかもしれない。
身体の動きそのものが変わっていることもあります。
だから、以前できた運動をそのまま繰り返すのではなく、
今日の身体はどうなのか
を確認することが大切です。
方法を先に決めるのではなく、その日の身体から考える
整体でも同じように考えています。
腰痛だから、この施術。
身体が硬いから、筋膜リリース。
筋力が弱いから、筋力トレーニング。
最初から方法を決めるのではありません。
身体を動かしてもらい、現在どのような動きになっているのかを確認する。
痛みがどの動作で出るのかを見る。
左右差や身体のつながりを確認する。
そのうえで、その日に必要な施術や運動を考えていきます。
以前と同じ症状であっても、身体の状態まで同じとは限りません。
身体を見るときに大切なのは「今」
急性期で担当した患者様は、歩ける能力がなくなったから負荷を下げたわけではありません。
状態が変わったから、その状態に合わせて一時的に負荷を変えました。
そして回復すれば、再び歩行練習を進める予定でした。
身体は常に同じではありません。
昨日できたこと。
以前できたこと。
前回の施術で変化したこと。
それらも大切な情報です。
しかし、それだけで今日の身体を決めることはできません。
過去に何ができたかを確認したうえで、今の身体がどうなっているのかを見る。
その状態に合わせて施術や運動を考えることを、現在も大切にしています。
広島市西区横川町1丁目
整体院・青体