腰痛があると、
「筋力が弱いから筋力トレーニングをした方がいい」
と言われることがあります。
確かに、身体を動かすために筋力は必要です。
立つ、歩く、階段を上る。どれも筋力を使います。
では、筋力があれば身体は問題なく動くのでしょうか?
私は、筋力そのものだけではなく、持っている筋力を実際の動作の中で使えているのかまで見ることが大切だと考えています。
運動している20代男性にあった歩行時の腰痛
以前、20代の男性で腰痛を訴えて来られた方がいました。
普段から運動もしており、年齢的にも若い方です。
しかし、歩いていると腰に痛みが出ていました。
身体を確認していくと、単純に「筋力が弱いから腰が痛い」という状態ではありませんでした。
私が見ていた一つが、股関節周りの筋肉です。
ただし、ここでいうのは単純に筋力があるか、ないかということではありません。
股関節周りの筋肉を、普段の動作の中でうまく発揮できているのか。
そこを見ていきました。
歩行や方向転換まで確認する
実際に歩いたり方向転換したりしてもらうと、方向を変えたときに姿勢が大きく崩れていました。
さらに身体を見ていくと、足首からうまく荷重できていませんでした。
人が歩いたり方向を変えたりするときには、足が地面に接して、そこから身体を支えながら動いていきます。
この方の場合、その足元からの荷重がうまくできていないことで、股関節周りの筋肉も十分に発揮できず、股関節、骨盤、そして腰へと負担がかかっていると考えました。
腰が痛いからといって、腰だけを見ればいいとは限りません。
また、股関節周りの筋肉がうまく使えていないからといって、その筋肉だけを鍛えればいいとも限りません。
筋力トレーニングではなくバランス練習を行った理由
ここで、
「股関節周りがうまく使えていないから、筋力トレーニングをしましょう」
と考えることもできます。
しかし、私は筋力をつけることだけを目的にはしませんでした。
この方に行ってもらったセルフエクササイズは、バランス練習を中心としたものでした。
足の感覚を入れながら、身体を支える練習をしていきました。
大切なのは、
筋力があることと、その筋力を実際の動作の中で使えることは同じではない
ということです。
筋肉そのものに力があったとしても、足元からうまく身体を支えられなければ、その上にある股関節や骨盤、腰にも影響します。
反対に「この筋肉が弱い」と感じたとしても、単純にその筋肉だけを筋力トレーニングすればいいとは限りません。
なぜ、その筋肉をうまく使えていないのか。
実際に身体を動かしたとき、どこから動きが崩れているのか。
そこを見る必要があります。
セルフエクササイズ後も実際の動作を確認する
そして、セルフエクササイズを伝えて終わりではありません。
2回目、3回目に来られたときには、もう一度実際に動いてもらいました。
方向転換したときのふらつきはどうなっているのか。
歩いたときの腰の痛みはどうなっているのか。
そうやって実際の動作の変化を確認していきました。
筋力を評価すること自体が必要ないわけではありません。
筋力が大きく低下していれば、それによって立ったり歩いたりすることが難しくなる場合もあります。
ただ、筋力だけを測って、
「筋力があるから大丈夫」
「筋力が弱いから筋力トレーニングをすればいい」
と判断するだけでは、実際の身体の動きが見えないことがあります。
筋力を見る。
実際に歩いてもらう。
方向を変えてもらう。
どこで身体が崩れるのかを見る。
そのうえで、今この人には何が必要なのかを考える。
そして、もう一度実際の動作で変化を確認する。
私は、この流れを大切にしています。
身体を動かすために筋力は必要です。
ただ、筋力があることと、その力を身体の中でうまく使えることは別です。
腰痛があるから筋力トレーニングをする、という一つの方法だけではなく、その人が持っている力を実際の歩行や動作の中で使えているのか。
筋力だけではなく、そこまで見ることが身体を考えるうえでは大切だと思っています。
自分では努力して実践している
それなのに不調をきたす
気になる方は↓↓より