自主トレというと、筋力トレーニングや体操など、「運動をすること」を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、身体を動かすことは大切です。
ただ、その人が普段どのくらい身体を動かしているのかによって、必要なことは変わります。
膝が痛くても、すでに十分運動している人もいる
以前、70代の女性に関わったことがあります。
その方は普段から農作業をしており、さらに週3回、1回3時間ほどテニスをされていました。
時々、膝の痛みがありました。
そこで私が確認したのは、単に「膝が痛い」ということだけではありません。
どのようなときに膝が痛くなるのか。
普段どのような生活をしているのか。
どのくらい身体を動かしているのか。
そういった生活習慣も含めて聞いていきました。
その中で分かったのが、この方はテニスが好きで続けたい一方で、周りの人と一緒にプレーすると頑張ってしまうということでした。
もっとできる。
周りに合わせて動きたい。
そう思えば、一生懸命ボールを追いかけます。
しかし、それによって膝への負担が大きくなり、痛みが出てしまえば、結果的に好きなテニスそのものを続けられなくなる可能性があります。
実際、本人からテニスをやめるかどうかという話も出ました。
私は、テニスは続けた方がいいと伝えました。
大切なのは、単純に「やる」「やめる」ということではなく、
これからも続けるために、どう身体と付き合っていくのか。
そこだと考えたからです。
膝への負担を考え、運動前・運動中・運動後を見直す
そのため、まずテニスを始める前の身体の準備について話しました。
いきなり強い運動を始めるのではなく、まず少し歩いて身体を温める。
普段どのような体操をしているのかも聞き、その体操は続けてもらう。
そしてテニスを始めるときも、最初から全力で動くのではなく、軽めの動きから始めていく。
運動が終わった後についても同じです。
テニスが終わったら、そのまますぐに家へ帰るのではなく、膝や足首を中心にゆっくりストレッチをしてから帰る。
さらに、プレー中にも休憩を入れる。
この方の場合、必要だったのは新しい筋力トレーニングや運動を追加することではありませんでした。
すでに十分身体を動かしています。
むしろ、
・運動する前にどう準備するのか
・運動中にどのように休むのか
・運動した後にどう身体をケアするのか
そういったことを生活の中に入れていくことが必要でした。
自主トレは「何を何回するか」だけではない
そして、伝えて終わりではありません。
整体に来られたときには、その後の経過も確認していきました。
テニスをしたときに膝はどうだったのか。
以前のように何もせずテニスをしていたときと、ウォーミングアップや運動後のケアを行ったときでは、身体の状態にどのような違いがあるのか。
実際の生活の中で試してもらい、その状態を確認していく。
必要であれば、またやり方を考える。
私は、こうしたことも自主トレを考えるうえでは大切だと思っています。
膝が痛いから運動をやめればいいとは限らない
専門職から見れば、膝への負担を減らすために「テニスを減らしてください」と伝えることもできます。
もちろん、身体の状態によっては運動を制限する必要がある場合もあります。
ただ、身体だけを見れば正しいことでも、その人の生活まで考えると、それだけでは答えにならないことがあります。
この方にとって、テニスは好きで続けてきた活動です。
それを単純に取り上げるのではなく、
どうすれば続けられるのか。
どこで休めばいいのか。
どんな準備やケアが必要なのか。
本人と一緒に考えていく。
自主トレというと、「何の運動を何回するか」を考えがちです。
しかし、すでに十分身体を動かしている人に、さらに運動を追加する必要があるとは限りません。
休むことが必要な人もいます。
身体のケアが必要な人もいます。
今行っている運動のやり方を変えることが必要な人もいます。
だから私は、
「この運動が身体に良いから、やってください」だけではなく、その人が普段どんな生活をしているのか、何を続けたいのか、そのために身体をどう使っていけばいいのか。
そこまで考えることが大切だと思っています。
自主トレは、単純に運動を増やすことではありません。
その人がやりたいことをこれからも続けていくために、今の身体に何が必要なのかを考えることも、自主トレの一つだと思っています。